天鷹酒造

有機日本酒

有機への想い

「身土不二(しんどふに)」
“身”と“土”は一体であり、切り離せない

この言葉は仏教の用語です。そして、明治時代になると(しんどふじ)と呼んでマクロビオテックの基になる食の運動のスローガンとなりました。
人が健康的に豊かな生活をおくるためには、土(環境)が大切です。またお酒も「酒土不二」であり、良い土と水なくして良いお酒を醸すことは出来ません。だからこそ、酒蔵は良い酒を造り続けるために、土と水を守らねばならないのです。そして土と水を守るということは、豊かな自然を未来の子供たちに遺していくことに繋がると天鷹は考えています。

天鷹酒造は、栃木県北部に広がる那須高原南端の、那珂川と箒川の2つの川に挟まれた緑豊かな田園地帯にあります。天鷹は創業以来この地で米と水を使ってお酒を造り続けてきました。1996年からは家族で参加できる「米作り酒造りの会」を通して、子供たちに豊かな自然を感じてもらえる活動を20年間行ってきました。そして2005年に有機認証事業者となり、有機農業を行う篤農家とともに有機米を作り、有機日本酒を造り始めました。2018年には、原料米の安定確保と、田んぼの特性に合わせた酒米作りをめざして子会社に「農地所有特定法人 天鷹オーガニックファーム株式会社」を設立し、醸造部の社員が中心となり、自らの手で有機米作りを始めました。天鷹オーガニックファームは、高齢化などにより農業を継続できなくなった農家さんから農地をお借りして、農地の担い手の一翼を担うとともに、環境に優しい有機農地の拡大を図り、地域の環境維持にも貢献しています。

有機日本酒を1本造るには約0.9㎡(注1)の農地が必要となります。つまり、有機日本酒が1本増えるごとに、持続可能な環境に優しい農地が広がり、地域の環境に貢献することができ、そして豊かな自然を未来の子供たちに遺していくことに繋がります。また、有機栽培の維持・継続のためには地力の維持向上が欠かせません。そのため、稲わらやもみ殻とともに、お酒を造る過程で出る糠や酒粕もたい肥化する循環型農業を行っています。さらに刈入れ後にレンゲ草などの肥料作物を作付けすると、空気中の二酸化炭素を取り込み、栄養素となる窒素成分に変えて根に蓄えるため、“環境を守る農業”から“環境を良くする農業”にも繋がります。

注1:収穫量360㎏/10aとし、純米酒1本/720mlを醸造するために必要なお米を栽培する面積

有機日本酒とは

「有機日本酒」と名乗るためには、単に有機米を使用しただけでは表示することが出来ません。田んぼや種もみはもちろんのこと、お米の輸送・貯蔵、そしてお酒の製造から瓶詰・販売までの全ての行程において有機性を保つ必要があります。そのために厳格な規定があり、登録認証機関の認証を受けて初めて「有機」と表示することが出来ます。また、その状態が間違いなく維持・実行されているかの確認を年に1回以上受ける義務があります。この様な手順は国際食品規格(コーデックス規格)によって定められており、日本のJAS法もそれに沿った内容で定められています。天鷹は日本だけでなく、有機先進地であるアメリカやEUでも有機として認証されており、自信をもって世界各地のお客様に有機日本酒をお届けしています。

天鷹の有機日本酒

日本酒は単なる「飲料」ではありません。単に環境に良いだけではなく、生活を豊かにする商品として美味しくなければならないと考えています。天鷹は「美味しい」「安心」「楽しい」商品を通して心と身体のくつろぎと歓びのある生活の提供を目指しています。その結果として、公的機関が行う日本で一番長い歴史と権威ある鑑評会である独立行政法人 酒類総合研究所が開催する全国新酒鑑評会において、全国で唯一、有機日本酒で金賞(通算3回、2024年現在)を受賞しています。その他にイギリス、アメリカ、フランス、イタリア、ベルギー、スペインなど世界各地のコンテストにおいてもその品質は高く評価されています。

そして、天鷹は単に「商品」として有機日本酒を造るだけではなく、醸造工程においてもできる限り薬剤の使用を控え、器具類は熱湯消毒か、アルコールで消毒を行うなど、環境に優しい酒造りを行っています。